江戸時代は、お金があると、生きにくい時代だった。
江戸時代には、銀行がない、たくさんお金を稼いでも、預けておく銀行がない、そうすると家の中に置くしかない。大きな商家の場合には、土蔵や金庫もある場合もあったろうが、庶民の場合は、薄っぺらな板張りの長屋暮らしで、万一、富くじで大金があたったりしても、保管場所がない。長屋の住人などは、タンスさえない場合も多い、布団の間にでもおいておくか、床板を剥がして、穴をほって壺でもおいて入れておくぐらいしか方法がない、立派な鍵のかかる家ではないし、住人がいなければどこからでも簡単に入れるような家だ、下手にお金があると、きっと心配で、とても出かけられなくなる、そうなると仕事にもいけなくなる。お金が暮らしのじゃまになったことだろう。長屋の住人が、家の中で、まとまったお金が手に入った場合家の中で、うっかり金の話はできない、きっと長屋の隣の住人に声が筒抜けだ。万一、お金がなくなったら、まず隣の住人を疑うことになるだろう、毎日心配と疑心暗鬼で、おちついたくらしができなくなる。そうしたら、長屋の隣人を誘って、吉原で、ぱっと使ってしまったほうが幸せだ。私達は、日常普通に銀行を利用しているので、もしなかったらなどと考えることもない、万一、宝くじで大きなお金があたった時、銀行がなかったら、かなり悲惨なことになる、もちろんそんな事を考える必要はないのだが、江戸時代のことを考えて楽しむ場合には、一度想像してみても楽しいだろう。